偏西風

「働き方」を自問する オフィスじゃないとできないか 大阪経済部編集委員・粂博之

 新型コロナウイルスの感染拡大で、人と会って話を聞くという記者の仕事にも制限が出ている。電話取材が中心となるが、先日は取材先の要望でテレビ会議システムを使った。普段使いのパソコンと通信環境で十分可能なのだ。こうしたシステムを用いたテレワーク(遠隔地での勤務)は、今のところ緊急避難策の位置づけだが、いずれ働き方を変えるかもしれない。

 テレビ会議による取材の相手はIT企業。パソコン画面上で商品のソフトウエアの操作方法を解説してもらいながら、質疑応答となった。取材先の担当者2人は「感染防止のため」それぞれ在宅勤務中。こんな取材も内容によっては「あり」だと思った。

 にわかに注目されるようになったテレワークだが、実は政府は10年以上前から導入拡大を政策課題に据えてきた。少子高齢化による働き手の減少を食い止めるため、女性の就労を促し離職を防ぐのが主な目的だ。期待を込めてこう表現している。

 「場所と時間にとらわれない柔軟な働き方であり、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を可能とし、多様な就労機会や起業・再チャレンジ機会を創出する」(平成19年5月、テレワーク人口倍増アクションプラン)。災害時の危機管理策としても有効だと指摘した。

 しかし、東京商工リサーチが今年3月27日~4月5日、企業を対象に行った調査によると、導入率は大企業で48・0%、中小企業は20・9%にとどまる。