
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量削減の取り組みが世界的に加速する中、中国の取り組みの出遅れ感が目立ち始めた。中国は2020年9月、排出量実質ゼロの達成時期を60年とする目標を宣言。しかし日米欧が50年の達成に向かっているうえ、中国国内で石炭火力発電所建設の動きが加速していることで冷ややかな視線が向けられている。地球環境問題への対応が鈍いと批判されてきた日本も汚名返上に向け、長期的な取り組みが求められる。
「中国が地球温暖化対策の枠組みに参加するだけで称賛される時期は終わった」
オーストラリア元首相のラッド氏は20年12月、中国の環境問題を扱うNPO法人のウェブサイトへの寄稿で中国にさらなる取り組みを促した。
中国の習近平国家主席は9月の国連総会でのビデオ演説で「60年までにカーボンニュートラルを達成する」と宣言。「30年までにCO2排出量のピークを越える」との前置きもつけた。
中国が気候温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で定めた目標は「30年前後」に排出量のピークを越えるとするもの。習氏の新たな宣言は「ほとんどの専門家は重大な一歩だとみている」(英BBC放送)と評価された。しかしそれから3カ月後、ラッド氏は「習氏の宣言がもたらした中国への好意的な評価は中国自身に向かうトゲとなりえる」と分析する。