航空機部品で磨いた大阪下町のものづくり 逆風にも応用効かせて

 新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に人の移動が停滞し、航空業界が大きなダメージを受けている。航空会社や空港だけではない、航空機メーカーも受注減で厳しい状況にある。実は関西では近年、航空機の部品製造を成長産業として位置付け、技術力のある企業や町工場の新規参入を積極的に支援してきた経緯がある。ものづくり企業がこれまで時間をかけて磨いた技術を生かせる場所は失われたのか。逆風に立ち向かう秘策はあるのだろうか。   (大島直之)

受注見込めず航空認証を凍結

 「向こう3年間は航空機関連の受注は見込めない。最近、ようやく軌道に乗れる手応えを感じていただけに残念」

 大阪府東大阪市にある金属熱処理加工業「ファインテック」(同府大東市)の工場で、専務の川端健一さんは約1億円を投じて導入した航空機部品用の真空熱処理炉を前に肩を落とした。