
コロナ禍が日本で始まった当初、いったい誰が舞台芸術の空白がここまで長引くと想像しただろう。
歌舞伎や文楽など伝統芸能は2月末から公演中止や延期に入った。さらに緊急事態宣言で、ライブ芸術は日本から一切といっていいほど姿を消してしまった。その期間は現在まで3カ月以上に及ぶ。
休業要請が解除され、ようやく光が見え始めたように思えたが、演劇の性質上、すぐに再開というわけにはいかなかった。ほとんどの演劇は、いわゆる「3密」。劇場という空間で、舞台上も客席も人間が多く集まる。稽古では緊密なコミュニケーションが必要だ。感染防止のため観客の人数を制限すると、採算面での懸念も出てくる。