韓国大法院(最高裁判所)の徴用工賠償判決は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の既定路線とみられてきた。昨年5月に政権がスタートして以来、文大統領は自身と価値観を共有する人物を法曹界の要所に配する人事を行い、その意向を実現する判決の布石を打ってきたからだ。沈黙を守る文大統領は日本や国際社会の反応を見定める目算のようだが、今後は「司法判断」や「国民感情」を盾に問題の長期化を図ってくる可能性がある。慰安婦問題をめぐる日韓合意を潰した文大統領の歴史観からみれば、「徴用工カード」を手放す可能性は低いだろう。
最高裁長官は韓国法曹界を代表する親北左派
文大統領は昨年、就任100日(8月17日)の記者会見で徴用工裁判について「両国間の合意(請求権協定)は個人の権利を侵害できない」と述べて、日本政府から抗議を受けた。のちに「韓国の司法判断を述べたということだ」と弁明したが、そもそも文大統領の歴史観は慰安婦、徴用工ともに「不法な日本支配の犠牲者」という立場である。