現地ルポ クリミア併合5年で交錯する「偉大なロシア」への郷愁と愛国主義への嫌悪

ロシアによる併合から5年を迎え、クリミア半島のセバストポリに展示された軍用車両で遊ぶ子供たち。ロシアでは愛国教育が強化されている=16日
ロシアによる併合から5年を迎え、クリミア半島のセバストポリに展示された軍用車両で遊ぶ子供たち。ロシアでは愛国教育が強化されている=16日

 ロシアのプーチン大統領がウクライナ南部クリミア半島の併合を一方的に宣言してから18日で5年を迎える。クリミアの中心都市、シンフェロポリではお祭りムードが演出され、地元当局は併合がもたらした利益を華々しくアピールする。ウクライナ政府の許可を得てクリミアを訪れ、併合から5年を経た現状を取材すると、併合の評価をめぐって高齢者と若者との間に微妙な温度差が生じ始めていることが見えてきた。(ウクライナ南部シンフェロポリ 小野田雄一、写真も)

戦車を防ぐブロック

 ウクライナ東部のヘルソンで運転手を雇い、陸路で南に約250キロのシンフェロポリを目指した。車は、道路に置かれた三角錐(さんかくすい)型のコンクリートブロックをかわしながら縫うように進む。運転手の男性は「ロシアの戦車を防ぐためだ。ほら、あそこにもある」。目をやると、道路脇の平原のかなたまでブロックが続いていた。