世界の論点

アルメニア人迫害を「ジェノサイド」認定 米「人権外交の象徴例」、トルコ「新たな敵意」

バイデン米大統領による「ジェノサイド」認定を受け、米ワシントンのトルコ大使館前に集まった人々(ロイター)
バイデン米大統領による「ジェノサイド」認定を受け、米ワシントンのトルコ大使館前に集まった人々(ロイター)

 バイデン米大統領は4月24日、第一次大戦中の1915年から17年にかけて多数のアルメニア人が死亡したオスマン帝国による迫害について、「ジェノサイド(民族大量虐殺)」にあたると、歴代米政権で初めて認定した。オスマン帝国の後継国であるトルコが強く反発する中、米紙は、ロシアから防空システムを導入するなど米欧と溝を深めるトルコとの関係変化を認定の背景として示唆。トルコは「根拠がなく不公平で、事実に反する」と反論している。

                  

≪ポイント≫

 ・NATO内で米欧との溝を深めるトルコ

 ・米、「人権」と「同盟再構築」の両立課題

 ・トルコ、政策の反米色を強めるのは確実

 ・「ウイグル」批判封じ、中国接近の可能性                  

米国 「人権外交」の象徴例だ

 バイデン米大統領が第一次大戦中に起きたオスマン帝国によるアルメニア人迫害を「ジェノサイド」と認定したことは、バイデン氏が掲げる「人権外交」の象徴例であると同時に、ともに北大西洋条約機構(NATO)に属する同盟国トルコとの関係の変化を映し出している。

 人権重視のバイデン政権と、強権色を強めるトルコのエルドアン大統領は「水と油」ではないか-。こうした指摘は、以前からささやかれてきた。