平成 その先へ

「働」 非正規、過労死、パワハラ…日本型雇用の崩壊

 東京都新宿区のシェアハウスで暮らす大野武則さん(42)=仮名=は、これまで怠けた生活を送ってきたつもりはないが、どうしても不安定な状態から抜け出せないでいる。

 居酒屋でリーダーを任され、学生らアルバイト店員を束ねる立場だが、自らもアルバイトであるということには違いはない。シフト制で月によって収入にばらつきがあり、手取りが月10万円台後半のこともある。

 周りの同年代では、結婚し、家庭を持つ者も少なくないが、自分の生活に精いっぱいで「将来を考える余裕は正直ない」という。

 平成13年に大学を卒業し保険会社に入社した。当時は失業率が5%に迫るいわゆる「就職氷河期」。同級生の半数が就職できないと聞き、「恵まれた」と思って必死に働いた。

【連載】平成 その先へ