歴史に消えたうた 唱歌、童謡の真実

(9)数え切れない「楠公歌」

 前回(17日付)の主人公、乃木希典(のぎ・まれすけ)には“明治の楠公(なんこう)(楠木正成(くすのき・まさしげ))”の異名がある。どちらも多くの国民から愛された人気者。天皇への忠義を生涯貫いたところも同じだ。

乃木希典が揮毫した「楠公父子訣別之所」の石碑 =大阪府島本町
乃木希典が揮毫した「楠公父子訣別之所」の石碑 =大阪府島本町

 乃木は、正成を深く敬愛していた。南北朝時代を描いた軍記物語「太平記」の有名な正成・正行(まさつら)父子別れ(桜井のわかれ)の場面の舞台とされている桜井駅跡史跡公園(大阪府島本町)には、めったに書(揮毫(きごう))を残さなかった乃木直筆の巨大な石碑「楠公父子訣別(けつべつ)之所」が立っている。