歴史に消えたうた 唱歌、童謡の真実

(22)もうひとつの「早春賦」

 4日は立春。暦の上では春の到来だ。この季節の定番に『早春賦(そうしゅんふ)』がある。

 “アラ還”記者が新米社員だった30年以上も前のこと。旧制高校・帝国大学を出た新聞社の大先輩が行きつけの東京・池袋の安酒場で酔いが回るころに必ずこの歌を歌う。恥ずかしながら記者は、その時までこの名曲を知らなかった。学校で習った記憶もない。

 『早春賦』の初出は、歌の作詞者で、東京音楽学校(現東京芸大)教授の吉丸一昌(よしまる・かずまさ)が編んだ、大正2(1913)年発行の「新作唱歌」第三集である。作曲は同助教授の中田章(あきら)だ。