歴史に消えたうた 唱歌、童謡の真実

(24)古関裕而は戦中もすごい

 《1本のエンピツに心あり 人の世の正義と自由を守るべく…》で始まる産経新聞社の「社歌」は、今も毎年必ず、新年の社員大会で流される。昭和31(1956)年の制定。社内で募り、1席となった大阪本社文化部次長(当時)、瀬川保の歌詞に、曲をつけたのは古関裕而(こせき・ゆうじ)であった。

 こうした社歌や学校の校歌、映画・演劇の音楽、テレビ・ラジオ番組の主題歌、ご当地ソング、流行歌、戦時歌謡…と古関の守備範囲は相当広い。中でも、真っ先に思い浮かぶのは、高らかに奏でられる応援歌、行進曲であろう。

 早稲田大学応援歌『紺碧(こんぺき)の空』や『阪神(※当初の題名は大阪)タイガースの歌(六甲おろし)』、『巨人軍の歌(闘魂こめて)』、夏の甲子園の『栄冠は君に輝く』など、今に歌い継がれるメロディー。まさにキラ星のごとくだ。