司馬遼太郎が描く幕末の高取城攻め 近代日本とのコントラスト鮮やかに

高取山の山頂に築かれた高取城。日本三大山城の一つに数えられる=奈良県高取町
高取山の山頂に築かれた高取城。日本三大山城の一つに数えられる=奈良県高取町

 今年没後25年となる国民的作家、司馬遼太郎(1923~96年)は、文化とは、文明とは何かと、作品を通じて問い続けた。小説に描かれた舞台には、それぞれその思索のヒントになった人々の暮らしや風景が残っている。

(藤原由梨、荒木利宏)

「おお、大砲」 侍のおかしみ描く

 奈良県高取町の高取山(標高約584メートル)に高取城跡はある。山道には木が倒れ、石の崩れたところもところどころあるが、山頂には立派な石垣が残り、南北朝から幕末まで続いた山城の威容を今も伝える。地元でまちづくりを行っている野村幸治さんは「国内でも屈指の難攻不落の山城です」と誇らしげだ。

 「おお、大砲」は、倒幕のために決起した天誅(てんちゅう)組から、高取藩を守った大砲にまつわる物語。幕末に浮上した封建制度の矛盾や、急ごしらえの改革派の危うさを描く。