“出世の軍資金”需要で飛躍 東大准教授の異色作『サラ金の歴史』が描く戦後日本の実相

現在では拭いがたいマイナスイメージが付着した「サラ金」という言葉。だが高度成長期にこの業態が生まれた当初は、銀行がまだ個人向け融資に消極的な時代にあって、消費者の需要に即応した革新的ベンチャービジネスでもあった。小島庸平・東大准教授の新刊『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』(中公新書)は、家族モデルや企業社会といった戦後日本の構造からサラ金が必然性を伴って生まれたことを解き明かし、その栄枯盛衰を描き出す異色の日本経済史だ。

肯定でも否定でもなく

 レオタード姿の女性集団が軽快な音楽に合わせてダンスするテレビCM、駅前一等地や繁華街に林立するサラ金ビル、街角で大量に配られるポケットティッシュ…。平成前期の世相を知る世代にとって、いまだ生々しく記憶に残る往時のサラ金。大手が競って派手なCMを流すなど独特の存在感を放つ一方で、多重債務者の続出や過酷な取り立てが社会問題化した。その結果、上限金利を厳しく制限する改正貸金業法が平成18年に成立し、以後は大手の倒産や銀行による子会社化が相次ぐなど業界再編が進み、もはや全盛期の勢いを実感することは難しい。