浪速風

天災に「杞憂」は当てはまらない

 天が崩れ落ちてくるのではないかと心配した古代中国の杞(き)の国の人は、夏(か)王朝の創始者、禹(う)の末裔(まつえい)とされる。作家の陳舜臣さんによると、夏の滅亡後も弱小の諸侯として領土を保っていたが、世間の目は冷たいものだったという。「なにかあると嘲笑の的になり、ときにはおろか者の話の主人公にされたのです」(「中国の歴史」講談社文庫)