10月28日

産経抄
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 国語学者の大野晋さんが約20年前に出した『日本語練習帳』にこうあった。新聞や雑誌に使われる単語の数は年間およそ3万語とされる。その5、6割は1度しか使われない。「つまり、半分の単語は…一年に二度とお目にかかることがない」と。

 ▼大野さんは続ける。「使用度数1、あるいは一生で一度も使わないかもしれない。だからいらないのではなくて、その一回のための単語を蓄えていること」。手間を惜しまず豊かな語彙を身につけよ、と。物書きの端くれとして、自省とともに思い出す言葉である。