12月19日

産経抄
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 「●(からだ)の上に大きな消しゴムが乗っかっている」。向田邦子さんのエッセー『消しゴム』は、奇抜な書き出しで一気に読者の心をつかむ。消しゴムの正体は、後半になって明かされる。

 ▼ガスストーブからもれていたガスだった。向田さんは、渾身(こんしん)の力を振りしぼって窓を開け空気を入れて、九死に一生を得た。名人芸と呼ぶしかない締めくくりの文章を、ぜひ作品で確かめていただきたい。