「フランスという国がどれほど日本に知られていないか、ご想像以上なのです…日本にはフランス文学についての本すらありません」。著名な作家でもあった駐日フランス大使、ポール・クローデルが本国にあてた書簡である。赴任してまもなくの大正11年、外務大臣に広報活動の再編成を訴えた(『孤独な帝国 日本の一九二〇年代』)。
▼「フランスの日本に対する無理解が、ここまでひどかったのかと思い知らされた」。小紙パリ支局長の三井美奈記者が、雑誌「正論」2月号で嘆いている。日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者が逮捕された事件をめぐる報道が、ひどすぎるというのだ。