文部科学相が「教育勅語」と口にしただけで目くじらを立てる方々は腰を抜かすかもしれない。戦前の歴史教科書は天照大神(あまてらすおおみかみ)から始まるのが定番だった。社内の資料室にあった尋常小学校教科書の復刻版を開くと、古事記や日本書紀に伝えられてきた日本国誕生の物語から始まる。
▼天照大神の章では、大国主命(おおくにぬしのみこと)に使者を遣わした国譲りの神話のほか、三種の神器の由来などもつづられている。続く神武天皇の章は、日向の国から瀬戸内海を渡り紀伊、熊野を経て大和を平定した東征の物語が描かれる。道案内役の八咫烏(やたがらす)の挿絵も入って楽しい。