産経抄

2月13日

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 国際オリンピック委員会(IOC)の副会長を務めた清川正二(まさじ)さんは、講演でドーピング問題に触れるたびに話題にしていた。日本人女性初の金メダリストとなった兵藤(旧姓・前畑)秀子さんが飲み込んだ、神社のお守りの話である。

 ▼1936年のベルリン五輪の女子200メートル平泳ぎ決勝の直前だった。前回のロサンゼルス五輪では、0秒1差で銀メダルにとどまっている。兵藤さんは、金メダルを逃せば死をも覚悟していた。極度の緊張感のなかで、頼れるのは神さまだけだった。プールに向かう途中、洗面所に寄って、紙のお守りを水といっしょに流し込んだ。兵藤さんはレース中、「神さま、助けてください」と唱えながら泳いでいたという。