産経抄

2月19日

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 「嘘というものはな、釣り針に似ている」。宮部みゆきさんの時代小説『桜ほうさら』で、主人公が父親の訓話を思い出す場面がある。釣り針には、魚の口に引っかかったら容易に外れぬように、返しがついている。「それでも抜こうと思うならば、ただ刺さっているときよりもさらに深く人を傷つけ、己の心も抉(えぐ)ってしまう」。

 ▼埼玉県熊谷市で平成21年に起きた、ひき逃げ事件が始まりだった。書道教室から自転車で帰宅する途中の小学4年の男児が死亡した。10歳の誕生日に母親から贈られた腕時計を身につけていた。