「私は『かわいそうに』と言われることが一番嫌いです」。児童養護施設に暮らす女子高校生が、愛読している作家、有川浩（ひろ）さんに手紙を書いた。世の中に私たちのことを正しく知ってもらいたい。

　▼施設を舞台にした小説を書いてほしい、と。快く引き受けた有川さんは、施設を訪れ、高校生に話を聞いた。綿密な取材を重ねてエンターテインメント小説に仕立てたのが、『明日の子供たち』（幻冬舎文庫）である。もちろん、高校生もヒロインとして登場する。