産経抄

3月3日

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 アフリカに生息する鳥の一種、クロオウチュウは信用を逆手に取るのがうまいと聞く。他の鳥や動物が獲物に群がるのを見張り、敵が近づくと高声で鳴いて危険を知らせる。たまに嘘の警告で鳥たちを追い払い、獲物を失敬するのが十八番らしい。

 ▼ヨシキリなどの巣で育つカッコウは、やはり鳴き声で親を欺く。「シッ」と一声出すヨシキリのひなに対し、カッコウのひなは「シシシシ」とねだり続けて親鳥に給餌を急(せ)かす。舌先三寸ではない。「音響擬態」の立派な名がついている(『擬態』上田恵介編著)。