産経抄

3月25日

 「庭でふきのとうを二つばかり見つけたので、干しわかめの雑炊にふきのとうを散らして、いかの塩辛で食べる」「お米を倹約して、小麦粉とそば粉でホットケーキ。会社の人にもらったサッカリンを入れて焼いてみた」。

 ▼文芸評論家の古谷綱武さんの秘書だった吉沢久子さんが、戦時中につけていた日記である。召集された古谷さんから、「後で東京の様子がわかるように何でもいいから書いておいてくれ」と頼まれたものだ。乏しくなっていく食べ物の記載が毎日のように続く。