産経抄

3月27日

 「暗黒街の帝王」と恐れられたアル・カポネは、禁酒法下のシカゴで密造酒の製造を取り仕切り、巨万の富を築いていた。禁酒法違反や殺人の容疑では逮捕が難しい。米財務省の捜査官、エリオット・ネスは大きな壁にぶつかっていた。

 ▼突破口を開いたのは、やはり財務省から派遣されてきた部下のウォーレスだった。「300万ドル以上の年収があるのに、税金は一切納めていない」「脱税でふん縛れる」。映画『アンタッチャブル』では、ここからカポネとネスの血みどろの戦いが始まる。実際、カポネは脱税で起訴され、懲役11年の有罪判決を受けている。