産経抄

3月28日

 戦国時代の名将、上杉謙信は最大のライバルだった武田信玄と14年もの間戦い続けた。信玄の死の報告を受けると、「敵の中の最も善き者」を失ったことに慟哭(どうこく)したという。

 ▼新渡戸稲造は世界的ベストセラーとなった『武士道』のなかでこのエピソードを紹介して、謙信を最大限にたたえる。「勇がこの高さに達した時、それは仁に近づく」(岩波文庫、矢内原忠雄訳)。昨日、大関昇進が正式に決まった貴景勝(22)の前の師匠、元貴乃花親方は、謙信を尊敬する人物として挙げていた。