産経抄

4月26日

 「空気からパンを作る」という言葉がある。空気中の窒素から、農作に欠かせない肥料の原料となるアンモニアを合成することを意味する。1898年、英科学者のクルックスによる大英学術協会での演説が、「20世紀最大の発明」を生むきっかけとなった。

 ▼当時の欧州は、肥料の原料を南米チリから輸入する硝石に頼りきっていた。危機感を強めるクルックスは、空気中の窒素を固定化する技術の開発を呼びかけた。それに応えたのが、後にノーベル賞を受賞するドイツ人化学者、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュである。