産経抄

5月15日

 昭和19年11月から翌年の8月15日まで、米軍のB29爆撃機は、日本の64都市を焼き尽くした。大阪府堺市では、7月9日から10日にかけての空襲で、1370人が亡くなっている。

 ▼地元の農学校の学生だった宮川●(すすむ)さん(86)は、「仁徳天皇陵古墳」に油脂爆弾が降り注がれるのを目撃している。すんでのところで、墳丘の森は炎上を免れた。もっとも、戦争が終わっても、古墳の受難は続いた(『よみがえる百舌鳥古墳群』新泉社)。