産経抄

5月28日

 雪が降りしきる、北海道のローカル線の終着駅が舞台となる。駅長の乙松(おとまつ)は、娘を亡くした日も妻を亡くした日も、列車を見送り続けてきた。浅田次郎さんの短編小説を映画化した『鉄道員(ぽっぽや)』の主役を務めたのは、高倉健さんである。

 ▼高倉さんは、昭和31年に映画デビューする。昨日訃報が伝えられた降旗康男監督は、その翌年に東映東京撮影所に入社した。撮影所で出会った二人がコンビを組んだ作品は、『鉄道員』を含めて20本にも及ぶ。21本目の準備が進行中に、高倉さんは世を去った。