産経抄

5月29日

 パキスタン北部の街を走るスクールバスが急ブレーキで止まり、若い男2人が乗り込んできた。「どの子がマララだ?」。男の声に答える間もなく、3発の銃声が響く。当時15歳のマララ・ユスフザイさんの耳には、「トン、トン、トン」と聞こえた。

 ▼「ニワトリの頭が切り落とされて、汚い道路に血が一滴ずつ落ちては吸い込まれていく」イメージである(『わたしはマララ』)。重傷を負ったマララさんは奇跡的に回復し、その後ノーベル平和賞を受賞したのは周知の通りである。