産経抄

6月1日

 5月31日未明、眠れぬ徒然(つれづれ)に近所の土手沿いを散策すると、黄色い花々が風に儚(はかな)げに揺れていた。「富士には月見草(つきみそう)がよく似合ふ」。作家、太宰治の言葉が反射的に頭に浮かんだ。もっとも、黄色いのは待宵草(まつよいぐさ)で本当の月見草の花弁は白いが、太宰の時代にはすでに混同されていたらしい。

 ▼月見草も待宵草も、代表的な花言葉に「気まぐれ」がある。安倍晋三首相は30日の経団連会合でこんな挨拶をした。「風というものは気まぐれで、誰かがコントロールできるようなものではない」。風とは衆院の「解散風」のことである。