産経抄

6月4日

 平成元年6月2日付の小紙に、中国の天体物理学者、方励之(ほう・れいし)氏のインタビュー記事が載っている。「近い将来に直接選挙、10年後くらいには、多党制度が実現するだろう」。民主化運動の指導的立場にもあった方氏は、中国の将来について楽観的だった。

 ▼天安門事件が起こったのは、その2日後である。戒厳部隊は、天安門広場に集まっていた学生らに、無差別に発砲した。「血みどろの男を抱く血みどろの女。この世の地獄だった」。当時、訪中作家団の団長として北京に滞在していた水上勉さんが書き残している。