産経抄

6月23日

 今は亡き落語家の笑福亭松之助さんに、高校生が弟子入りを志願した。風刺の利いた新作落語で人気を博していた、昭和49年の話という。「何でワシのとこなんかに来たんや」。尋ねる師匠に、若者はあけすけに答えた。「センスよろしいから」。

 ▼師匠は目角を立てるどころか、「おおきに」と弟子入りを認めている。若者の達者な話術はテレビ向きだと見抜き、お笑いタレントへの転身を勧めもした。その弟子が後の明石家さんまさんである。落語界の格言いわく〈師匠選びも芸のうち〉。けだし至言だろう。