産経抄

6月30日

 おごり高ぶる人を前にすると、負けじと胸を反らせてしまう。謙虚な人の前では、こちらも自然と腰が低くなる。〈人と人との応接は、要するに鏡のようなものである〉(吉川英治『三国志』)。人情の機微だろう。

 ▼「大阪G20」で交わされた2人の握手は、作家の明察を裏切らなかった。眉根を寄せたトランプ米大統領と、動かぬ面皮に本音を包んだ習近平中国国家主席の会談である。お互いに鏡を見るような時間だったろう。「新冷戦」を象徴する虚々実々の駆け引きだった。