産経抄

7月14日

 梅雨明けのコラムにふさわしい、とメモしておいた五行歌がある。〈穴蝉の/背を割って/森の/賑(にぎ)わいが/生まれた〉浜田美智子(草壁焔太編『五行歌の事典』から)。列島の南側に前線が居座る天気図を見て、早かったかと悔いている。

 ▼各地の梅雨明けは次の週末以降となる見通しで、地域によっては大雨への備えが必要という。気温も上がらず、セミの幼虫には悩ましい時間に違いない。テレビのお天気キャスター氏は「セミが地上をうかがう頃合いに、迷う日々が続きそうだ」と同情していた。歳時記には「みどりの冬」という季語もある。冷夏を品よく言い換えたものだが、作物の育ちに胸を痛める地域もあろう。言葉の優しい響きに、感心してもいられない。