落語家の古今亭志ん朝さんは、亡くなるまでウナギを一切食べなかった。嫌いだったわけではない。志ん朝さんの守り本尊である虚空蔵菩薩には、ウナギに乗って天から舞い降りてきたとの言い伝えがあった。志ん朝さんは芸の上達を祈願して、大好物のウナギを断っていたというのだ。
▼27日の土用の丑の日に消費のピークを迎えるウナギが、大変な事態に陥っている。ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギの国内の漁獲量は近年、減り続けてきた。今期はとうとう3・7トンにとどまり、水産庁が統計を取り始めた平成15年以来、過去最低を記録する。