米南部テキサス州のエルパソといえば、映画ファンなら「夕陽のガンマン」(1965年)を思い出すだろう。哀愁漂う口笛のメロディーから始まる、西部劇の名作である。脱獄囚を追う、凄腕(すごうで)の賞金稼ぎを演じるクリント・イーストウッドさんはひたすらかっこよかった。
▼エルパソは現在、人口68万人のうち8割をヒスパニック(中南米)系が占める。国境を接するメキシコからも多くの人が訪れる街で、惨劇は起こった。3日午前、市内のショッピングセンターで21歳の白人の男が銃を乱射して、22人が死亡した。「攻撃は、テキサス州へのヒスパニックの侵略に対する答えだ」。警察に拘束された容疑者は、事件の直前に犯行声明をネットに投稿していた。