産経抄

8月9日

 日本語特有のあいまいさを含んだ言葉の一つに、「善処します」がある。1969年の日米首脳会談で、ニクソン米大統領から繊維の輸出規制を迫られた佐藤栄作首相が、この言葉を使ったとされる。

 ▼通訳が「アイ・ウィル・ドゥ・マイ・ベスト」と前向きに聞こえる英語に訳したために、ニクソン氏は後に、約束が反故(ほご)にされたと怒った。「誤訳」が外交関係をこじらせた例として、よく取り上げられる。もっとも佐藤氏は実は「善処」とは言わなかったらしい。