産経抄

8月14日

 蒸し暑い夜、ほろ酔い気分で地下鉄を降り、階段をのぼって大通りに出てみると車一台走らず、人っ子一人歩いていない。おかしい。酔っ払って乗り過ごしたかなぁ、と地図を見ようとスマホを取り出そうとしたとき、ドォーン、ヒューンと、耳をつんざく金属音が続けざまに鳴り響いた。

 ▼デモ隊に向けて警察が発射した催涙弾だった。あわてて階段を駆け下り、間一髪、難を逃れた。とは、香港から這々(ほうほう)の体(てい)で帰国したばかりの知人の話である。商売で年に何度も往復している彼曰(いわ)く、「こんな香港、見たことない」。