産経抄

8月15日

 今年も『孫たちへの証言』(新風書房)が送られてきた。昭和63年に創刊された戦争体験の記録集も第32集となる。ずっと編集してきた福山琢磨さんは平成の終幕とともに、若手にバトンタッチするはずだった。

 ▼諸般の事情で結局、今回も85歳の福山さんの奮闘にゆだねられた。将来の「戦争抑止力」の一つとすべく、質の高い記録を残そうとする福山さんが闘ってきたのは、「記憶の風化」である。