産経抄

8月19日

 百本のろうそくを立て参加者が怪談を語り終える度に消していく。全て消えると…。「百物語(ひゃくものがたり)」は俳句の季語にもなっているという(『絶滅寸前季語辞典』夏井いつき著、ちくま文庫)。暦の上では立秋もとうに過ぎ、「夏」の季語を持ち出すと怒られそうだが、酷暑が続き納涼話にも頼りたくなる。

 ▼同書は現代に風習が廃れたり、季節感がずれたりして消えつつある季語を集めている。ホラー小説・映画の人気は根強いが、子供が祖父母から地域に伝わる怪談を語ってもらう機会などはなくなっている。