産経抄

8月21日

 植村直己さんが、氷に閉ざされたグリーンランドの西海岸をただ一人犬ぞりを駆って3千キロを踏破したのは、昭和48(1973)年だった。実は現在では不可能な冒険だという。コースの一部が流氷になるなど、氷が安定しなくなったからだ。植村さんの著書『極北に駆ける』(文春文庫)の解説で、現地に長く暮らす大島育雄さんが指摘していた。

 ▼地球温暖化の影響である。北極圏の氷が解けてアクセスが容易になり、北欧デンマークの自治領グリーンランドの戦略的重要性が増してきた。なかでも近年、インフラ整備や資源開発など積極的に参入しているのが、中国である。