産経抄

9月12日

 安倍晋三首相が今年8月に抜くまで、戦後最長の政権を維持したのは、首相の大叔父にあたる佐藤栄作元首相である。内閣改造を6回行った佐藤は、「議員名鑑」を常に手元に置いていたといわれ、「人事の佐藤」とたたえられた。

 ▼人事の重要性と難しさを思い知ったのは昭和23年10月、第2次吉田茂内閣で官房長官に抜擢(ばってき)された時だろう。47歳でまだ議員にもなっていない。煩雑さに驚きながら初めての組閣に関わった。すったもんだの末に最後に決まったのが、新人議員だった泉山三六の大蔵大臣への起用である。泉山は組閣後、わずか1週間で予算を組み上げ、期待に応えた(『今日は明日の前日』)。