産経抄

9月15日

 中空(なかぞら)の月が風情を帯びる季節は、長雨や台風と重なることが多い。作家で俳人の久保田万太郎は〈月哀(かな)しわれから雲をくぐるとき〉と詠んだ。いわゆる中秋無月に嘆息した句として、お天気博士の倉嶋厚さんが『季節よもやま辞典』で触れている。

 ▼中秋の旧暦8月15日は、いまの9月8日頃から10月7日頃の間を動く。今年は9月13日だった。翌14日を含めおおむね好天に恵まれたものの、台風一過の千葉県ではなお停電が続いている。秋涼をはらむ夜風にほっとしつつ、複雑な思いで空を仰いだ方は多かろう。