産経抄

9月21日

 「寄り添うだけでは被災地は救えない」。東電福島第1原発で、増え続ける汚染浄化後の処理水をめぐる原田義昭前環境相の忌憚(きたん)のない言葉は、ずばり本質を射ている。退任直前には「(処理水を海洋に)放出して希釈する他に選択肢はない」と述べて反発を買ったが、覚悟の上での発言だった。

 ▼処理水が含む放射性物質「トリチウム」は自然界に大量に存在し、紙一枚で遮蔽(しゃへい)され皮膚も透過できないほど微弱である。体内に摂取しても速やかに排出され、世界各国がごく普通に海洋放出している。だが、風評被害の増大を懸念する被災地に配慮し、これまで保管用タンクにため込まれてきた。