産経抄

9月28日

 読書週間(10月27日~11月9日)にはまだ一月早いが、ようやく残暑も和らいで読書向きの季節が到来した。活字中毒の小欄は、手元に常に1、2冊の本がないと落ち着かないが、そうそういつも読みたい本と出会えはしない。そこで、お気に入りの時代小説を繰り返しひもとくことになる。

 ▼市井に生きる人々や下級武士らの人情や哀歓、愛欲と運不運を描く時代小説は、何度手に取っても面白い。ただ、読み返す度に世の無常を覚え寂しくなることがある。それは物語の中の出来事についてではなく、作者自身に関わることである。