「日本の新聞は、極めて深刻な中国の民族問題の基本的知識に関して、あまりにも無神経である」。元東大史料編纂(へんさん)所教授の酒井信彦さんが、小紙で指摘していた。その例として挙げたのが、「ウイグル族」という表現である。
▼クルド人もまた、1980年代ごろの新聞では、クルド族という表現が目立っていた。現在のトルコ、イラン、イラク、シリアなどにまたがって居住し、総人口は3000万人程度とみられる。中東では、アラブ人、トルコ人、ペルシャ人に次ぐ「第4の勢力」でありながら、「祖国なき民族」と呼ばれてきた。