産経抄

10月30日

 先週のコラムで、中東のクルド人が国際社会の耳目を集めるようになったのは、1991年の湾岸戦争からだ、と書いた。イラクから周辺諸国に脱出した難民は、100万人を超えていた。

 ▼この前例のない事態に立ち向かったのが、日本人として初めて国連難民高等弁務官に就任したばかりの緒方貞子さんだった。緒方さんは防弾チョッキを身につけ、ヘリコプターで現地を飛び回った。最初に難問を突きつけたのは、トルコである。国内でクルド人による独立運動を抱えており、難民の受け入れを拒んでいた。