産経抄

11月5日

 昭和20年の沖縄戦で、那覇市にある首里城は米軍の砲撃により徹底的に破壊された。戦後「首里城復元」の機運が高まるのは、米統治下にあった沖縄が本土復帰を果たしてからだ。

 ▼首里城は15世紀半ばに琉球王国が成立してから、明治12年に沖縄県が設置されるまで、琉球王の居城だった。その間、何度も焼失、修復が繰り返されてきた。プロジェクトの中心メンバーだった琉球史が専門の高良倉吉(たから・くらよし)さんは、一つの決意を固めていた。それは「『中古車』ではなく『新車』の復元」である。