産経抄

12月7日

 昨年5月に亡くなった食漫画の巨匠、土山しげるさんの絶筆『勤番グルメ ブシメシ!』の第3巻が3日に刊行され、早速手に取った。2度目の江戸勤務を命じられた紀州和歌山藩の下級武士である主人公、酒井伴四郎の目を通し、江戸の風俗、食事情、日々の哀歓が活写されている。

 ▼それもそのはず、酒井は実在の人物で物語はその日記を基に構成されている。『幕末単身赴任 下級武士の食日記』の著者である青木直己さんの協力の下、描かれた。勤番侍の故郷に残した家族への思い、意外とグルメな一面などが新鮮で、そうだったのかという驚きもあった。