産経抄

12月10日

 2010年が明けたばかりの頃、ドイツ政府にある取引が持ちかけられた。スイスの銀行に口座を持つドイツ人約1500人分のデータの買い取りである。盗まれた可能性が高く、売値は約3億円だった。

 ▼厳格な秘密保持で知られるスイスには、世界中から脱税目的の資産が集中するといわれる。ドイツ政府内では、脱税摘発のために購入すべきだとの主張と、倫理面から反対する意見が対立していた。結局、購入が決まったとの報道があった。すると脱税者が、続々と自己申告してきたという。